日本海に浮かぶ新潟県・佐渡島に、全国でも珍しいブランド米がある。その価値は国際的にも認められ、10年前、島は先進国で初めて「世界農業遺産」となった。将来が危ぶまれていた「佐渡米」の復活――。かぎは、特別天然記念物トキが握っていた。
今月7日昼、東京・成城の世田谷区立明正(めいせい)小学校に給食の時間がやってきた。約860人の児童がほおばるご飯は佐渡産コシヒカリ「朱鷺(とき)と暮らす郷(さと)」だ。
校内で給食を調理している明正小では、「佐渡のお米はおいしい」と米店に薦められ、今年度から米飯給食の白米に「朱鷺と暮らす郷」を使い始めた。
この米が、トキの野生復帰に貢献してきたことはあまり知られていない。しかし、その「功績」が評価され、2011年に佐渡島は石川県の能登半島とともに、国連食糧農業機関(FAO)から「世界農業遺産」に認定された。「その物語に感動しました」と明正小の副校長、黒田博之は語った。
認定の3年前にあたる08年、佐渡市は「朱鷺と暮らす郷」の認証制度を始めた。環境を保全するための厳格な条件で栽培された米を、ブランド米として認める仕組みだ。
台風被害で収穫半減、市長は危機感
きっかけは、04年夏に佐渡…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル